co.houyhnhnm.jp
CHOKKAKU SHIBUYA OFFICIAL WEB

168A3666

もうひとつのライオン殺し:Uncarina abbreviata

もうひとつの「ライオン殺し」、ウンカリーナの実。

触れる前に気がつくべきだった。あからさまに暴力的な鉤爪をこれでもかと突きつけてくるハルパゴフィツムやイビセラに比べて、パッとしない凡庸な姿への違和感に。触手のような突起をつまんだ瞬間、親指と人差し指が離れなくなった。顔を近づけてよく見てみると、その触手の先端には極小の鉤爪があり、指先の指紋の溝にガッチリと食い込んでいる。あわてて、もう片手で抜こうとまたも不用意に触れてしまったため、あっという間に両手がロックされた。小さな木の実に完全に動きを封じ込められてしまったのだ。

ちょうどそばで作業していた知人を呼び、くれぐれも先端の鉤爪に触れないよう根元を摘んで外してくれるよう頼む。慎重に根元を狙ってつまみ、鉤爪を外そうと指先を返したその時、別の突起の鉤爪が知人の指を捉えた。小さな実に成人男性2名、計3本の腕がロックされる非常事態。せっかくの貴重な実だが、これはもう突起をハサミで切断して緊急脱出するしかない、と、唯一残った知人の片手を使って突起を切り落とす作戦へ移行。しかし、利き手でない手しか残っておらず、ここでも作業は難航。小さな実に繋がれた2人はチェーンデスマッチ的な不自然な体勢となり、指先に余計な負荷がかかって、恐れていた最悪の事態が起こってしまう。ついに鉤爪が僕の指を切り裂いたのだ。ほとばしる鮮血。それでも、それが利き手だったのは幸いだった。切り裂かれたことで自由になった指でハサミを握り、確実に突起をカット。かくして"ライオン殺し"から開放された。

真に恐ろしいものほど、その力を誇示することなく、なんということのない姿でその凶気を包み隠す。たった5cm程度の木の実ながら、男性2人がかりでも素手ではかなわず、得物をつかって逃げ出すのが精一杯。ウンカリーナこそ、これまで対峙したなかで最凶の木の実だった。

ちなみに、指先の傷は、小さな鉤爪がひっかかった程度なので、血がじんわりとにじむ程度の軽いもの。けれど、大の男2人を血祭りにあげた最凶の実という"逸話"にしたてて、重宝させてもらってる。

168A3668

Posted by

フリーランス編集者。 関東と関西の半々暮らし。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Presented by

HOUYHNHNM

© Rhino Inc.

TOP