co.houyhnhnm.jp
CHOKKAKU SHIBUYA OFFICIAL WEB

『ロゼット本』制作日記006

これが高澤くんがしげしげと見ていた19世紀のロゼット。写真は博物館のHPより。

これが高澤くんがしげしげと見ていた19世紀のロゼット。写真は博物館のHPより。

 

2013年、ロゼット取材2度目の渡英でのこと。

 

本場英国ではあちこちに小ネタはあるので、滞在中出来るだけ取材したい高澤くん、タイムスケジュールはパツパツで、日本で言えば東京から仙台へ日帰りで行き、翌日にはまた名古屋へこれまた日帰りで行くような強行スケジュール。同行していた友人の息子はあまりの猛スピードのデスドライブに吐くほど。高澤くんはロゼットの事となると鬼軍曹と化すのである。(名誉の為に言うと運転していたのは高澤じゃなくてドライバーだけど)

 

地方での取材を終えてロンドンに戻り、なるべく古いアーカイヴ見せてもらえないか博物館に申請したところ、18世紀のロゼットを見せてもらえる事になった。博物館の所有する倉庫に保存されていて撮影はNG。もちろんお触りも禁止。ロゼットに並々ならぬ情熱をそそぐ男、高澤敬介はそれでもいいのだ。撮れないならば焼き付けてやろうじゃないの、網膜に!

 

誓約書みたいな物にサインさせられ、無機質な会議室のような部屋で待たされると、緑色の手袋をした学芸員の女性が別室から大切そうに運んできた。背後でその女性の監視下の物々しい空気の中、高澤くんは「へー、○○プリーツなんだぁ…」とか大きな虫眼鏡片手に何やら呟いている。裏も見たいとお願いすれば、ささっと飛んで来てひっくり返してもらう。とにかくDon’t Touchの貴重な代物なのだ。

 

正直に言うと私はすることがなくて退屈していたのと、緊迫した空気の時ほど不謹慎なことを考えるタイプなので、早くパブ行ってギネス飲みたいにゃ〜、なんてことを考えながら、あくびを堪えて小鼻を膨らましていた。しかし高澤くんも学芸員の女性もいたって真顔である。存分に見てもらうまでひたすら待った。これは私の勝手な予想だけれど、今までの彼女の勤務期間の中でこのロゼットのみを見に来た者なんていないのではないかしらん?

今日変わった日本人が来たのよ〜と夕食時には話題になったかもしれない。

 

高澤くんが納得いくまで見たところで彼女にお礼を言って別れの挨拶をすると、

鉄仮面のようだった彼女が初めて微笑んだ。私は氷のような彼女の心を高澤くんの熱いロゼット愛で溶かした瞬間を見たように思った。遥か遠いジャパンから熱心にロゼットを愛でる青年に心を打たれたのだと…。ええもん見たわー。

 

倉庫を出て、本日の業務終了!!パブパブー!!と前のめりに歩く私の背後から高澤くんが開口一番。「見ました?あの方」

 

うんうん、高澤くんも気付いた?あの人の心を解した瞬間!

 

 「すんごい目頭切開でしたね!!」

 

知らんがな!!ロゼット真剣に見てたんじゃなかったんかーーーい!!!!!

 TK2

真剣に件のロゼットを見る高澤くん。…へ、へ、変態…。

Posted by

写真を撮るお仕事をしてます。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Presented by

HOUYHNHNM

© Rhino Inc.

TOP