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ロールキャベツ

飲み会で「これ美味しい! もう一こ食べよう」と手を伸ばした友人の手を「あんたそれ二こ目でしょう!」とはたいたことがあります。
料理が運ばれてきた瞬間目を光らせ、大根餅の数や切り分けられたピザの数と、飲み会の場の人数を照らし合わせているからです。
七人で飲んでいたのだがもうすぐ八人目が来る。四こで盛ってある大根餅を二皿頼んだのだ。あんたに二こ目いかれたら遅れて来る人の分がなくなる。
友人はしぶしぶながらも「あ、そうだよね」と納得してくれました。私はまだ来ぬ友人の取り皿に残った一つの大根餅を取り分けておいた。
……いやいや、遅れて来る人にはまた頼めばいいのだ。そうすれば遅れてきた人も温かい大根餅が食べられるし、二こ目が食べたかった友人も幸せ。あーなんだって自分はこんなにせこせこしてるんだろう、と次の日に思い出してはうんうん唸る。こうゆうことがよくあります。

話は変わりますが先日『着て・食べる羊展』という催しを友人と企画しました。
友人は自分の羊から毛刈りした毛を洗って紡いで毛糸にして、デザインして編んでニットの作品にして出品するという。
私は奥で、羊料理とそれに合う料理や飲み物を供する食堂をやることにしました。
その中に“ラム肉のロールキャベツ”というのがありました。ロールキャベツは普段よく作るが、合い挽き肉でです。今回はラム肉なのでそのクセを生かしたい。いつもの、合い挽き肉用の味付けだとしっくりこないので試行錯誤してなんとかラム肉に合うよう工夫しました。
味付けは決まったが、お客さんに同価格で供するにあたって「量を同じにしなければならない」という問題が出てきました。飲み会で一つ多く食べようとした友人の手をはたくような女がやる食堂で、出されたものがそもそも量が違うなんて納得できない。
そうはいっても相手はキャベツです。肉ダネはきちんとはかってわければいいとして、キャベツの葉の一枚一枚は全て違う大きさなのです。このままじゃロールキャベツの大きさの違いに気づいた客同士でケンカになってしまう。

少し考えて名案を思い付きました。キャベツの葉は大きさは違うが外側からだんだん小さくなっていっている。大きさは階段状に順番に、だんだんに、だ。
これは算数の「1から100までの数をぜんぶ足すといくつになるか?(等差級数の和)」というのを考えるときの始めの考え方を使えばいいんじゃないか。

roll02「1と100を足すと101」「2と99を足すと101」「3と98を足すと101」……「50と51を足すと101」まで「101」が「50セット」できますね、というあれだ。等差級数の和をもとめるなら最初の101に50をかけるが、私が作るのはロールキャベツだからかけ算しなくていい(「質量平等なロールキャベツ」が「16セット」できますね)。
とにかく最初に剥いたキャベツのいちばん外側の葉といちばん最後に出てくる芯にいちばん近い葉をセットにすればいいのである。二こ目のロールキャベツは外葉が少し小さくなるがそのぶん中の葉は少しだけ大きくなる。これで二枚合わせた葉の分量はいっしょです。ケンカはなしだ!
ラム薄切り肉をハンディブレンダーでミンチにし肉ダネをこねて、やっとキャベツをロールする作業にはいれたのは深夜一時をまわっていました。

0021当日起こるケンカへの懸念など誰も知る由もなく、ロールキャベツは好評のうちに売り切れました。

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1979年鳩ヶ谷市生まれ。ミニコミ紙“W0B0R0”編集長。俳句の同人“傍点”所属。名前は父が好きだった『前略おふくろ様』のヒロインの名前からつけたらしいです。 http://w0b0r0.info/

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